仮想通貨取引の根幹を揺るがす? 騒動に揺れるTether(USDT)問題とは何か ビットコイン相場も大幅に下落

コインチェックからXEMが消失した事件で下落したものの、週末には回復していた仮想通貨市場ですが、週明けから改めて大きく値を下げる展開が続いており、31日にもビットコインが一時1万ドルを切る状況が見られました。この状況の背景にあるのが、テザー(Tether)社が発行するTether(USDT)を巡る疑惑です。

大手取引所であるビットフィネックス(Bitfinex)と同じ経営陣に率いられているテザーが発行しているのが、Tether(単位はUSDT)という仮想通貨です。USDTは、テザーが保有しているドルと同額が発行されるとされていて、1ドル=1 USDTでの交換が保証され、実際に常に1ドル近辺で取引が行われています。

取引所の運営を円滑にするTether(USDT)

Tetherは非常に重宝される仮想通貨です。その理由は幾つかあります。

1つはドルと等価である(ということになっている)点です。ビットコインをはじめとする仮想通貨は非常に値動きが激しくなっていますが、投資家が一時的に手仕舞いしたい場面も出てきます。そうした際に、1 USDT=1ドルで固定されているUSDTは安心な選択肢となります。ビットコインが暴騰している時も、暴落している時も、1 USDTは1ドルを保ってきました。

取引所にとっても、実際に仮想通貨をドルに変えようとすると、銀行からドルを調達する必要が出てきます。手数料もかかります。擬似的に安定しているTetherは便利です。取引所が他の取引所から仮想通貨を購入するような場面でも、Tetherが便利に使われているようです(取引所のクラーケンCEOのツイート)。取引所が大口の取引を行っても、Tetherベースであれば相場に与える影響も最小化できるということです。

Tetherが崩壊し1 USDT = 1ドルが崩れることによる影響は大きそうです。(現時点では1ドル付近を維持)

ビットコインの釣り上げに使われていた?

そんなテザーに疑問が付くようになったのは、2017年4月に取引を行ってきた台湾の銀行との関係が終わったことが明らかになった頃からです。これは取引所のビットフェネックスにも大きな影響を与え、一時入出金を止めるという騒ぎにもなりました。

しかしUSDTの発行は続き、膨らんでいきます。募る疑惑に対して同社は簡易的なレポートを発表し、4億4000万ドルの準備があることを明らかにしましたが、パートナーとなっている金融機関は明かされませんでした。4月から9月の間にUSDTの発行量は10倍になっていました。

匿名の統計学者が発表したとする文章が大きな話題になっています。様々な統計学的な手法を用いて、USDTの発行とビットコインの価格変動を分析したもので、著者は以下のように結論付けています。

・Tetherの発行は自律的なものではなく、市場の状況に応じたものである可能性が高い
・調査期間中のBTCの価格上昇の48.8%はTetherの新規発行から2時間以内に発生している
・ビットフェネックスの統計情報は疑わしく一般的な監査を受ける必要がある
・これらが真実であった場合、ビットコイン価格は30-80%下落する可能性がある

著者はビッグ4のような大手監査法人による監査が必要であるとともに、直近の現預金だけでなくその推移を明らかにし、適切なTetherの発行が行われてきたか明確にする必要があると指摘しています。

文章によれば、Tetherの発行はビットコインの価格が低迷している時期に行われ、発行後に急激な上昇を見せていると指摘。こうしたことから、テザー社が発行したTetherを使って市場に介入し、意図的なビットコインの高騰を演出し、直接的に利益を上げると共に、取引所を活性化させることで間接的な利益を享受していたのではないかという疑問が向けられます。

ビットフェネックスは無事でいられるか

ビットフェネックスはビットコインやイーサリアムなど多数の通貨を取り扱う取引所で、CoinMarketCapによれば一日の取引高は約17億ドルで、第6位の規模となっています。テザーとビットフェネックスの疑惑が大きくなるにつれて、この取引所の存続についても疑問符が付けられており、巨大な取引所の動向にも注目が集まっています。

◆ ◆ ◆

このようなテザー問題には幾つかの論点があります。

1. Tether(USDT)という価格が安定した通貨が失われることによって仮想通貨取引の利便性が大きく損なわれるのではないか(結果として市場の縮小と価格の下落があるのではないか)

2. 現在のビットコイン価格はテザー社によって意図的に釣り上げられてきたもので、大部分が失われるのではないか(そもそも根拠があるか疑わしい価格に疑惑が付けられる)

3. ビットフェネックスに破綻懸念があるのではないか(巨大取引所であり影響は甚大で市場にも悪影響を与える)

この全てが現在の市場に悪影響を与え、価格の下落を招いていると考えられます。

更に悪いことにテザー社は監査を受けていたFriedman LLPとの関係が失われたことを認めました。さらにはブルームバーグが、幹部が米国規制当局から召喚状を12月上旬に受け取っていたことを31日に報道し更なる苦境に陥っています。

仮想通貨市場の崩壊をも招く可能性まで指摘されるテザー問題については今後も続報をお伝えしていきます。 

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

5

仮想通貨ビジネス総研

仮想通貨に関するビジネス情報を発信していきます。株式会社イード運営。 お問い合わせはこちら https://www.iid.co.jp/contact/coinbusiness_contact.html

解説

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。